蜻蛉玉の味わい

蜻蛉玉の味わい

ぶん屋で取り扱っている商品のうちで、蜻蛉玉はとりわけ人気のある品です。
簪(かんざし)として巣立つことが一番多いでしょうか。
次いで、根付。携帯のストラップ、バッグのファスナーの手がかり、
がま口の飾り、着物姿のアクセントとして、用途はお好みでかまいません。

ネックレスにされる方、そのままで箱に入れ、
時々出して眺めて楽しまれる方もおいでです。

蜻蛉玉は、ガラスです。
陶器のようにも見えますが、ガラスです。

ニッキ棒のような形状の様々な色のガラス棒を、
ガスバーナーで溶かしながら金属の棒に巻き取っていく。
溶けたガラスは、水飴のように巻き取られます。
金属棒は、絶えず回していないと、溶けたガラスが落ちてしまいます。

地の色のガラスを巻き取ったら、柄を描くガラスを溶かし、
地に乗せ、なじませます。
細かい柄なら、細いガラス棒を用意します。
素材のガラス棒はさほど細いものではないので、
各々、必要な細さのガラス棒を作るそうです。

柄は、炎の上で解けて流れたがりますので、すばやく柄を入れ止める必要があります。
きれいな丸や、鋭角をもった柄、きちんとそろった柄は
熟練した職人の成せる業です。

透明感のあるガラスを地に使い、柄が埋め込まれて奥行きを感じるものもあります。
小さな気泡を閉じ込めて、まるでコップに入れた炭酸水のようなものもあります。

手触りは、つるり としているものがほとんどですが、
皮を剥いたみかんを模したみかん玉や、
特殊処理をしてあって、つや消しのものもあります。
柄を立体的に残しているものもあったりして、それぞれ趣があるんですよ。

ガラスの玉ですので、手のひらに載せると、少しだけ重みを感じる。
これもなんとなくうれしいものです。

炎の勢いと溶けたガラスを操って、瞬間的な勝負で出来上がる蜻蛉玉。
くるくると回し眺めて、柄の繰り返しを楽しんだり、
指先で触れて、手触りを楽しんだり。

柄の緩み、鋭さを味わってみたり。

お客様が、ぶん屋の店先で悩んで悩んで、お持ち帰りいただく蜻蛉玉。
手に入れた後も、眺めて透かして、なでて転がして、
じんわりと味わっていただきたく存じます。

職人は、毎回真剣勝負です。
どんな職人も、ひとつひとつの品へ命を吹き込みます。
その命は、自分の命を少し削って吹き込んでいる。

どんな風に楽しむかは、お客様次第です。

あなただけの蜻蛉玉を選びに、ぶん屋へお越しくださいませ。


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この記事へのコメント
こんばんは姐さん。
いつか話してくれた職人さんのところの針金に通した
不具合な玉の話、いつかそれを見てみたいと願っています。
愛情をこめたのに不揃いな玉たち、また話をしてください。
Posted by イチローイチロー at 2008年09月03日 19:43
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