悩める幸せ
毎朝通勤で通る池町のお寺に書いてあった。
「溺れているときに悩むか。悩めるって幸せなんや。」
確かにそうだ。悩むってことは選択肢があることが前提だもの。例え具体的な選択肢はなくとも、もう少し「よい」何かがある、と漠然と別の選択肢を思う場合も、選択肢があるのと同じ。
窮地に追い込まれたとき、道はひとつしか与えられない。前はただ険しく、引き返せるわけもなく、横道はなく、ただ険しい前へ進むしかない場合、悩む余地はない。
選択肢があってどうしよう、と悩むことができるのは幸せなことなんだ、と改めて思う。
明日、わたしは38になる。わたしたち夫婦が出会ったとき、主人が38だった。もう15年も経つのだ。結婚したのは、7年前だけど結婚自体は単なる通過ポイントでしかなかったわたしたち。大変だった時期のことを思い出しても「あれはあれで楽しかったね」と話せる。
こんなふうに暑い夏に、自転車に乗って馬込川沿いを走り、中田島まで行ったサイクリング。
水筒にお茶を入れて、てくてく、てくてく歩いて高い場所から見た町並み。
月に一度の雲雀での外食。てんぷら蕎麦おいしかったねぇ。
朝早く夜勤から帰ってくるあなたの晩酌のために、朝っぱらから唐揚げを揚げたり。
夜中の二時ごろの夕飯の写真をケータイで送ってきて。毎回ちぐはぐなおかずと山盛の千キャベツ。
あのときは、前には道が無かったね。でも二人で進んだよね。だからここまで来たよね。
今度、わたしが今のあなたの歳に追いつくまで、また15年。
どうぞ、よろしくお願いします。
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