桔梗は、咲く前に可愛らしい星型のつぼみをつけます。
高校生の文化祭で、ちょっとしたお土産を作るのが流行っていました。
展示を見てくださった方に渡す粗品です。
紙テープを五角形に畳み、角を膨らませると、星型になります。
桔梗のつぼみを見ると、わたしは文化祭を思い出すのです。
高校の文化祭は、6月第一土日、と決まっていました。
今でも同じようです。
ちょうど、校舎の建て替え年に当たった、3年生の文化祭。
「壁に直接絵を描いたり、穴を開けてたりしてもいいぞ」
と先生のお言葉。
今では考えられないかもしれませんが、本当の話。
ただ、校舎からプレハブへの引越しは、6月末だったので、
文化祭後の授業に支障のない程度、という限度つきでしたが。
おかげで、ちょっと賑やかな、でも終わってしまって少し寂しい
文化祭の名残を抱えたまま、1ヶ月弱授業を受け、6月末日、
みんなでプレハブへ引越しをしました。
プレハブは、運動場に建てられ、自分の机と荷物は自分で運ぶ引越し
でした。
今思えば、どうやったのか、混乱もなく整然と引越しが行なわれました。
旧校舎が解体を始めたのは、もう夏休みに入ってからだったと思います。
危険なため立ち入り禁止になっていた校舎に、別れを告げるため、
部活の終わったあと、こっそりと友達数人で入り込み、
校舎の壁に「さよなら!」「ありがとう!!」などと殴り書きをして、
写真を撮った覚えがあります。
階段で恋の悩みを打ち明けあったこと、部室での楽しいひと時、
教室での団欒や、ミーティング。
どこへ行っても思い出がぎっしり詰まっていて、これが無くなって
しまうのか、と胸を締め付けられたものでした。
新しい校舎は、わたしたちの卒業後に完成したので、わたしたちは、
新校舎での思い出は一切ありません。
新校舎になってしまってからの高校は、別の学校のようで、懐かしさ
はありません。
あの、床のPタイルの色がバラバラの、水の配管が廊下にむき出しの、
開けたら閉められない、閉めたら開けられない硬い窓の、
古いトイレの校舎で、勉強だけじゃなく、恋や本当の友情や、
がむしゃらにがんばることや、無駄な元気や、憧れや失望などを学び
ました。
台風の大雨が心配されましたが、今は小康状態。
しずくがきれいだったので、写真に収めました。