失せ物探し
昨日職場でちょっとした失せ物探しがありました。
物は無事見つかって、ホッとしたんですが、
子どものころの思い出がまたよみがえってきた。
学級委員バッジを二度なくしたんです。
学級委員になると名札に付けるバッジを貰います。
いや、預かります。学校の備品で任期が満了すれば、
次の人に渡すものでした。
小学校にいる間に学級委員を何回かやりましたが、
バッジは二度なくしました。
一度目は、たしか出てこなかった。
しかし、二度目は青くなって探しました。
学級委員の信用丸つぶれ、母も先生もカンカンです。
一度なくしてるから、注意していました。
なくさないように名札に穴を開けてバッジのネジをしっかり回しておいた。
なのに、学校から帰ったら胸に名札がない。
名札ごと落としたようなんです。
どんなに言い訳しても、無いものは無い。
学校から家までの道のりを何度も往復して探しましたがありません。
家にも帰れず、学校ももう閉まって先生もいない。
夕方暗くなってきて、父が心配してわたしの様子を見に来ました。
心細くて泣き出したわたしを励まして、もう一度探そう、と歩き出した父。
「もう何回も見たの。無いの。」
「あきが見てもなくても、お父さんが見たらあるかもしれんぞ」
二往復して、辺りは真っ暗。
父も黙ってあちこち見てくれていますが、諦めの表情になりました。
あぁ、またなくしてしまった。
なくしたことと、叱られるのが辛くて、最後の横断歩道が青になるまで
泣いていました。
「あき、あった!あったぞ」
父は、ときどき冗談で驚かすことがありましたから、
また、お父さんウソばっかり!と思って顔をあげました。
父が、満面の笑みで指差す先に、わたしが落とした名札がありました。
民家の縁の下に、踏まれたりしないよう、だれかが避けておいて
くださったのでしょう。
しかし、影になって、敢えて覗かなければ見つからない場所に名札は、ちん、と座っていました。
「おとーさんっ。すごい!なんで?なんで?
何回もここ通ってるし、多分下も見たよっ」
「今、何気なく見たらあっただよ。今までお父さんも気づかなんだ」
涙でぐしゃぐしゃの顔をしたわたしが「あった、あった」と
大声で玄関をくぐれば、驚いた母は、よかったね、気をつけて、と
それ以上わたしを叱りませんでした。
失せ物のある方は、こんなところ、と思うところも気になる場所は探してみてください。
失せ物を強く思うと思いがけないところから、ひょいと出てくることもありますね。
昨日の失せ物もそうでした。
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