暑くなってくると、本当に役に立つ扇子。
儀礼や儀式のため、踊りに使うため、といろんな役割がありますが、
やっぱり風を送るための扇子の役割が、一番身近です。
扇子のこと、調べてみました。
涼をとるための扇を「夏扇(なつせん)」といいます。
一般に男持ちは七寸三分(約22センチ)、女持ちは六寸五分(約20センチ)
で、扇面は主に紙で作られます。
骨は、竹で出来ていて、閉じたときに外側に来る骨は、「親骨」といい、
扇子を形成している骨は「中骨」といいます。
骨の数は、「桁数」といって、素材や目的に応じて、桁数は変わります。
骨を止めているところは一箇所、「要(かなめ)」といいます。
扇子の要は、金属やプラスチック、鯨ひげなどで骨を束ねています。
この部位が壊れると扇子としての用を為さなくなるため、
「肝心要」の語源となりました。
地紙の貼られた扇面は、絵が施されているもの、渋紙で無地のものなどが
あります。布が貼られているのは、逆輸入の扇です。
扇は、閉じた状態から、骨を右手親指でずらすように押すことで開きます。
逆に無理に開くと壊れてしまいます。
片手ですっと開くと、様子がいいのですが、慣れるまでなかなかそうは
いきません。扇子をお求めになったら、人前で開ける前に是非練習を
してください。
扇ぐ時は、パタパタとせわしなく扇ぐのではなく、
ゆったりと扇ぐのがよし、とされています。
暑くて扇を使うので、ぱたぱたと動かしてしまうのが人情ですが、
使っていただければわかりますが、実際は、ゆっくりと扇いだほうが
風がより起きるようです。
女性は、着物を着た場合、帯に挿して懐剣の代わりとします。
正式な場所へ着物でお出かけの際は、扇を挿して、正装となります。
帯に挿す扇は、抜いて扇ぐためのものではないので、小さめでよく、
塗りで家紋が入っていればなおのこと結構なものです。
挿すときには、要の側から差し込みます。
わたしは、天から挿すのだと勘違いしていて、呉服屋さんで教えて
いただきました。
よく考えれば、天から帯へ挿せば、扇も傷みますよね。
扇子は、茶道のお道具のひとつにもなっています。
茶扇もお茶席で開くことは無いそうですが、扇面には絵が描かれている
とのこと。扇面の絵にも季節感を持たせるのでしょうか。
扇は、その形から、「末広(すえひろ)」とも呼ばれ、縁起がいいとされ、
おめでたい席での贈り物にも用いられます。
ぶん屋では、さまざまな誂えをお受けしておりますが、
塗りの扇子へ家紋を入れる誂えもございます。
女持ち家紋扇の誂えの記事はこちらをクリックしてください。
家紋は蒔絵職人が手描きでいれてくれます。
出来上がりは毎回、ほぉ、とため息の出る美しさです。