夏の白
ハイビスカスやマンゴーのような強い色は、常夏の国の色ではあるが、
暑さに参った人の心をげんなりとさせる色でもある。
夏に着物を着ようと思うと、尻込みする。
見た目はどんなに涼しそうであっても、当の本人は帯の下が蒸れ、
身八つ口から入ってくる風に、なんとか生きた心地を見出しているような始末。
そこへ、パッションフルーツの色を持ってこられてはたまらない。
着物を着ている本人が暑いことを人にふれまわっている様なもので、
見ているほうもちっとも涼しくない。
夏は、白が美しい。
もうすぐ、光がシルバーからゴールドへと変わる時期を迎える。
白は、きつく感じる時期が来る。
白から徐々にベージュへとうつろう手前の今、白を美しく感じるのは、
大暑も近く、夏がそろそろ終わりを告げるからだろうか。
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