蜻蛉玉の味わい

ぶん屋あき

2008年09月03日 08:41



ぶん屋で取り扱っている商品のうちで、蜻蛉玉はとりわけ人気のある品です。
簪(かんざし)として巣立つことが一番多いでしょうか。
次いで、根付。携帯のストラップ、バッグのファスナーの手がかり、
がま口の飾り、着物姿のアクセントとして、用途はお好みでかまいません。

ネックレスにされる方、そのままで箱に入れ、
時々出して眺めて楽しまれる方もおいでです。

蜻蛉玉は、ガラスです。
陶器のようにも見えますが、ガラスです。

ニッキ棒のような形状の様々な色のガラス棒を、
ガスバーナーで溶かしながら金属の棒に巻き取っていく。
溶けたガラスは、水飴のように巻き取られます。
金属棒は、絶えず回していないと、溶けたガラスが落ちてしまいます。

地の色のガラスを巻き取ったら、柄を描くガラスを溶かし、
地に乗せ、なじませます。
細かい柄なら、細いガラス棒を用意します。
素材のガラス棒はさほど細いものではないので、
各々、必要な細さのガラス棒を作るそうです。

柄は、炎の上で解けて流れたがりますので、すばやく柄を入れ止める必要があります。
きれいな丸や、鋭角をもった柄、きちんとそろった柄は
熟練した職人の成せる業です。

透明感のあるガラスを地に使い、柄が埋め込まれて奥行きを感じるものもあります。
小さな気泡を閉じ込めて、まるでコップに入れた炭酸水のようなものもあります。

手触りは、つるり としているものがほとんどですが、
皮を剥いたみかんを模したみかん玉や、
特殊処理をしてあって、つや消しのものもあります。
柄を立体的に残しているものもあったりして、それぞれ趣があるんですよ。

ガラスの玉ですので、手のひらに載せると、少しだけ重みを感じる。
これもなんとなくうれしいものです。

炎の勢いと溶けたガラスを操って、瞬間的な勝負で出来上がる蜻蛉玉。
くるくると回し眺めて、柄の繰り返しを楽しんだり、
指先で触れて、手触りを楽しんだり。

柄の緩み、鋭さを味わってみたり。

お客様が、ぶん屋の店先で悩んで悩んで、お持ち帰りいただく蜻蛉玉。
手に入れた後も、眺めて透かして、なでて転がして、
じんわりと味わっていただきたく存じます。

職人は、毎回真剣勝負です。
どんな職人も、ひとつひとつの品へ命を吹き込みます。
その命は、自分の命を少し削って吹き込んでいる。

どんな風に楽しむかは、お客様次第です。

あなただけの蜻蛉玉を選びに、ぶん屋へお越しくださいませ。
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