『畳のクロ』

遠州弁ネイティブスピーカーの皆さん、こんにちは。
「遠州弁を考える」の時間がやってまいりました。

今回は、他地区からお嫁にいらした方から聞いた話をご紹介します。

お嫁入りしてまもなく、本家でお葬式があったそうです。
(遠州地域のお葬式は、派手です。お店の開店のような花輪が
 でるのは珍しいと思います。あと、お盆の籠盛もあまりない習慣だそうです。)

何をしていいのかわからず、思い切って尋ねたそうです。

「何をしたらよろしいでしょうか」

「そうだねぇ、『畳のクロ』にでも立ってな」

遠州地区の方は、この思いやりのある発言を理解してくださると思いますが、
このお嫁さん、当惑しました。

畳のクロ・・・・。クロってどこですか・・・。

遠州弁ネイティブの方、お嫁さんに、どこに立ってれば良いか
次の2つのうちから教えてあげてください。


(1)畳のクロ、と言えば部屋の隅のことだよ!じゃまにならないところに
   いなさいね、って言ってくれてるよ。

(2)畳のクロ、と言えば畳の縁の帯の黒っぽいところのことだよ!
   

遠州弁ネイティブの皆さんは、間違いなく(1)をお選びくださったと
思いますが、このお嫁さんは、(2)だと思ったそうです。
畳のクロ・・・と部屋を見渡したところ、畳の縁が黒い帯だったそうで、
「これが畳のクロだ!」と合点し、爪先立ちでうろうろ。

同じ人に
「あんた、畳のクロに立ってな、って言っただに、じゃまだやぁ」
と叱られてしまったそうです。クロに立ってるのに・・・。

別の方に、再び思い切って
「畳のクロに立ってよ、と言われたので、立ってるのですが、
 邪魔だと言われてしまいました。」
と相談したら、
「もっとクロへ行ってんもんで」
と教えてもらったとか。

もっとクロ・・・。

かわいそうなお嫁さんは、家中で一番黒い畳の縁を探して、
そこへ立っていたそうです。
お葬式が終って、ご主人に話したところ、
「部屋の隅」という意味だったことが判明。お疲れ様でした。

「くろ」とは、辞書で引くと「田畑のあぜ」のこと。
田畑のあぜは、隅っこにあることから、部屋のくろ=部屋の隅
となったか。

隅=クマ がクロに訛った、という説もあり、不思議は深まります。

遠州弁、案外古めかしい言い方がそのまま残っていますので、
後世にしっかり伝えていきましょう。



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